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序ここで、masaくんが何をしたいと思ったか、詮索するのは野暮だろう。十代後半の男が「したい!」と思うことは、ひとつしかない。 しかし、こればっかりは、「したい!」と思ってもすぐできるようなものでもない。するためには相手が必要だ。悲しいかな今日のmasaくんには「したい!」と思っても、簡単にさせてくれる女の子がまわりにはいなかった。 そこでmasaくんは考えた。どうすれば、できるのだろうか? 彼は一生懸命考えた。このことは誉めてやってもいいと思う。だが、ここ半年女っ気から遠ざかっているmasaくんに妙案が浮かぶわけがなかった。そんなに簡単に妙案が浮かぶなら、「したい!」と思う前に実行しているよ。 「あの、iwaさん、したいんですけど」 思い詰めたmasaくんはぼくに相談を持ってきた。 「したいって、何を?」 「それは、あの、あれですよ」 「なるほど、あれか。わかった。おれに任せろ」 ぼくにはmasaくんが何をしたいのかがすぐにわかった。 「本当ですか! お願いします」 「ただし、相手は選べんぞ」 「いいです。このさいだから」 ぼくはmasaくんにやるための手段として道具をプレゼントした。masaくんはぼくのプレゼントを受け取ると、両手に握りしめて悪賢い笑みを浮かべた(写真1)。 「ゴーアヘッドの飲み物実験シリーズということで、kiriちゃんとtyuruちゃんにアポを取った。だから、今日ふたりに実験と称して飲ませる。飲ませたあとは、おまえが好きにすればいい。相手はのってくるぞ」 「そうですか! ありがとうございますありがとうございます」 masaくんは期待に胸と、もうひとつ別のところを膨らませていた。 本題まず、ふたりの意識調査をしてみた。 ふたりの目の前に二冊の本を置く。一冊はたまたまtyuruちゃんの愛読書『幻日』(福澤徹三著)の単行本(写真3)、もう一冊はぼくの家をあせくったら出てきた三年前の『熱烈投稿』というエロ本(写真4)である。 「この二冊でいま、読みたい本を指さしてね」 ふたりは迷いもせずに『幻日』を指さした(写真5)。なるほど、よかったよかった。これで福澤先生の面目も保たれたし、十九歳女の性も乱れてないことが判明したのである。本当によかった。 「じゃあ、飲んでみて」 ぼくの合図とともに、ふたりは飲みだす(写真6,7)。 「ピーチーズドリンク」の原材料は、ビタミンB各種・ビタミンC・生姜エキス・ハチミツ・クエン酸・食用アルコール・ブドウ糖・果糖・液糖・香料ガラナエキス・合成保存料(安息香酸)である。この原材料がいったい何なのかはちっともぼくにはわからないが、このドリンクを飲めばエッチになるらしい。人間の身体は神秘的である。 100ミリリットルの無炭酸清涼飲料水を飲むのにそう時間はかからなかった。ふたりとも、すぐに飲み干した。 あまりにもあっさりふたりが飲むもんだから、ぼくは本当にこれだけでエッチになっているのだろうか、と不安になった。 パッケージをよく見ると、「ガラナパワーでちょっとHで不思議な世界へ」と書いてある(写真8)。ということは、原材料の中のガラナがエッチの成分というわけなのだが、ぼくは前に北海道へ旅行に行ったときのことを思いだした。 東京へ行くと、ドクターペッパーを買いだめするぐらい変な缶ジュース好きのぼくにしてみれば、ガラナはちっとも珍しい名前ではない。北海道ローカルの炭酸飲料によく入っているものだ。ガラナの現物は見たことがないが、葉っぱでコーヒーの三倍のカフェインを含んでいるという知識もある。 そんな、北海道で普通に売られているガラナを飲んだだけで人間は簡単にエッチになるのだろうか? もし、本当になるのだったら、北海道は大変ではないか? ふたりに特別変わった様子もない(写真9)。ぼくはこの企画は失敗だったかなあ、と後悔しながら二冊の本をふたりの前に並べた。 「いま、読みたい本は?」 投げやりな声で言う。 だが……奇跡は起こった。 ふたりは照れながら、『熱烈投稿』を指さした(写真10)。 勝った! なぜだかわからないけど、ぼくの胸の中に勝利の感動がわき起こった。 ふたりは指を指すだけでは我慢が出来ず、手に取り、しげしげとエロ本を見ているではないか(写真11)。 やったやったやったやった。 「Hな気分になっちゃうドリンク」は本当にHな気分になるようである。 だから、悪用してはいけませんぞ。 終了後
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注・この実験の報告のみ、多少の脚色をしています。つまり、ちょっとヤラセ入ってるというわけですね。