Hな気分になるドリンクを飲んでみた

 
たくらむmasa
写真1
何も知らないkiriとtyuru
写真2
幻日。いい本です
写真3
熱烈投稿。お世話になりました
写真4
使用前
写真5
tyuru、なんとか飲む
写真6
kiri、一気に飲む
写真7
ガラナでエッチになるんだろうか?
写真8
変わった様子はありません
写真9
でも、ふたりは熱烈投稿を読みたがるのです
写真10
熱心に読んでます
写真11
はまってます
写真12
羽交い締めにされるmasa
写真13
女子トイレに連れ込まれてます
写真14
逃げようとするmasaを引き留めるkiri
写真15

 ある日、masaくんは「したい!」と思った。
 ここで、masaくんが何をしたいと思ったか、詮索するのは野暮だろう。十代後半の男が「したい!」と思うことは、ひとつしかない。
 しかし、こればっかりは、「したい!」と思ってもすぐできるようなものでもない。するためには相手が必要だ。悲しいかな今日のmasaくんには「したい!」と思っても、簡単にさせてくれる女の子がまわりにはいなかった。
 そこでmasaくんは考えた。どうすれば、できるのだろうか?
 彼は一生懸命考えた。このことは誉めてやってもいいと思う。だが、ここ半年女っ気から遠ざかっているmasaくんに妙案が浮かぶわけがなかった。そんなに簡単に妙案が浮かぶなら、「したい!」と思う前に実行しているよ。
「あの、iwaさん、したいんですけど」
 思い詰めたmasaくんはぼくに相談を持ってきた。
「したいって、何を?」
「それは、あの、あれですよ」
「なるほど、あれか。わかった。おれに任せろ」
 ぼくにはmasaくんが何をしたいのかがすぐにわかった。
「本当ですか! お願いします」
「ただし、相手は選べんぞ」
「いいです。このさいだから」
 ぼくはmasaくんにやるための手段として道具をプレゼントした。masaくんはぼくのプレゼントを受け取ると、両手に握りしめて悪賢い笑みを浮かべた(写真1)。
「ゴーアヘッドの飲み物実験シリーズということで、kiriちゃんとtyuruちゃんにアポを取った。だから、今日ふたりに実験と称して飲ませる。飲ませたあとは、おまえが好きにすればいい。相手はのってくるぞ」
「そうですか! ありがとうございますありがとうございます」
 masaくんは期待に胸と、もうひとつ別のところを膨らませていた。
 

 本題

 前回、十年前の缶ジュースをkiriちゃんに飲んでもらって、kiriちゃんと口を利いてもらえなくなったぼくだが、今回も性懲りもなくkiriちゃん(写真2左)に変なものを飲んでもらおうと思ってる。今回の飲み物は「Hな気分になっちゃうドリンク」として販売されている「ピーチーズドリンク」。「ピーチーズ」、うーん、名前からしてエッチではないか。楽しみだ。また、今回はもしkiriちゃんに効かなかったときのためにtyuruちゃん(写真2右)にもチャレンジしてもらった。
 まず、ふたりの意識調査をしてみた。
 ふたりの目の前に二冊の本を置く。一冊はたまたまtyuruちゃんの愛読書『幻日』(福澤徹三著)の単行本(写真3)、もう一冊はぼくの家をあせくったら出てきた三年前の『熱烈投稿』というエロ本(写真4)である。
「この二冊でいま、読みたい本を指さしてね」
 ふたりは迷いもせずに『幻日』を指さした(写真5)。なるほど、よかったよかった。これで福澤先生の面目も保たれたし、十九歳女の性も乱れてないことが判明したのである。本当によかった。
「じゃあ、飲んでみて」 
 ぼくの合図とともに、ふたりは飲みだす(写真6,7)。
「ピーチーズドリンク」の原材料は、ビタミンB各種・ビタミンC・生姜エキス・ハチミツ・クエン酸・食用アルコール・ブドウ糖・果糖・液糖・香料ガラナエキス・合成保存料(安息香酸)である。この原材料がいったい何なのかはちっともぼくにはわからないが、このドリンクを飲めばエッチになるらしい。人間の身体は神秘的である。
 100ミリリットルの無炭酸清涼飲料水を飲むのにそう時間はかからなかった。ふたりとも、すぐに飲み干した。
 あまりにもあっさりふたりが飲むもんだから、ぼくは本当にこれだけでエッチになっているのだろうか、と不安になった。
 パッケージをよく見ると、「ガラナパワーでちょっとHで不思議な世界へ」と書いてある(写真8)。ということは、原材料の中のガラナがエッチの成分というわけなのだが、ぼくは前に北海道へ旅行に行ったときのことを思いだした。
 東京へ行くと、ドクターペッパーを買いだめするぐらい変な缶ジュース好きのぼくにしてみれば、ガラナはちっとも珍しい名前ではない。北海道ローカルの炭酸飲料によく入っているものだ。ガラナの現物は見たことがないが、葉っぱでコーヒーの三倍のカフェインを含んでいるという知識もある。
 そんな、北海道で普通に売られているガラナを飲んだだけで人間は簡単にエッチになるのだろうか? もし、本当になるのだったら、北海道は大変ではないか?
 ふたりに特別変わった様子もない(写真9)。ぼくはこの企画は失敗だったかなあ、と後悔しながら二冊の本をふたりの前に並べた。
「いま、読みたい本は?」
 投げやりな声で言う。
 だが……奇跡は起こった。
 ふたりは照れながら、『熱烈投稿』を指さした(写真10)。
 勝った!
 なぜだかわからないけど、ぼくの胸の中に勝利の感動がわき起こった。
 ふたりは指を指すだけでは我慢が出来ず、手に取り、しげしげとエロ本を見ているではないか(写真11)。
 やったやったやったやった。
「Hな気分になっちゃうドリンク」は本当にHな気分になるようである。
 だから、悪用してはいけませんぞ。
 

 終了後


 エロ本を手放さないふたりの前にmasaくんを連れてきた。masaくんは驚いてた。
「うぉー、先輩。すごいっすね。効果抜群じゃないっすか」
「いま誘えばできるぞ。チャンスだ」
「そうっすねそうっすね」
 鼻息を荒くして、masaくんはふたりに話しかける。
「おつかれさまでした」
 ふたりはエロ本に夢中でシカトだ(写真12)。masaくんが居場所なさげにぼくを見ている。ぼくはふたりからエロ本を取り上げた。
「はい、もう終わり。おつかれさん」
「えー」
 ふたりから不服の声があがる。ぼくは聞こえない振りをして片づけに入る。
「iwaさん、人をこんな気分にさせといてもう終わりですか?」
 前回のジュース以降、ぼくへの不信感を募らせているkiriちゃんはキレ気味に言った。
「じゃあ、masaでも相手にすれば」
「masaくん、借りていいの?」
 tyuruちゃんが弾んだ声をあげる。masaくんはひとりでにやにや笑っている。
「いいよ」
「やったあ!」
 と声をあげるや、ふたりは椅子から立ち上がりmasaくんを羽交い締めにした(写真13)。
「おいでおいで」
「行こう行こう」
 女子トイレに連れ込まれるmasaくん、泣きそうな声をあげる(写真14・15)。
「先輩、ぼくはたしかにしたいって言いましたけど、これはなんか違います。なんか違います」
「なんで?」
「だって、ぼくはしたかったけど、でも違う。これじゃないこれじゃない」
「masa、がたがた言わないで来いや!」
 kiriちゃんのその一言で女子トイレのドアは閉められた。
 この日、一日中masaくんの携帯はつながらなかった。
 次の日の夕方になってやっと電話がつながった。
「あれから、どうしたの?」
 ぼくは訊いた。
「人には喋りたくない過去もあります」
 masaくんはそう答えた。
 あのあと、女子トイレで何が起こったか。知りたいようで知りたくない気もする。
 女性を道具に頼ってエッチな気分にさせるのは、危険なようだ。

注・この実験の報告のみ、多少の脚色をしています。つまり、ちょっとヤラセ入ってるというわけですね。

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