ついに21世紀初のゴールデンウィークがやってきた。
 ゴールデンウィークが終わっても、これから夏がやってきて、21世紀の行楽が本番となる。
 海、山、川、キャンプ、バーベキューと、しがない生活を忘れるためにたくさんの行楽地は人を集め、ゴミを生み、環境汚染を生むのである。
 いや、いけないいけない。こんな批判めいたことはどうでもいいのだ。
 行楽と言えばお菓子である。
 なんの脈略もないけど、これが言いたかったのだ。
 みなさん、思い出してください。子供の頃のもっとも身近な行楽を。
 子供にとってもっとも身近な行楽は、幼稚園や小学校で行く遠足です。
 バスに乗って動物園に行ったり、河川敷まで歩いてみたりしましたよね。
 そんな子供にとって、遠足のいちばんの楽しみは、「どこへ行くか」でも、「行って何をするか」でもなく、もちろん「家に帰るまでが遠足だ」という緊張感でもなく、「お菓子」ではなかったでしょうか?
 決められた価格内に厳選されたお菓子を、友達と交換しながら食べる。
 それこそが遠足の楽しみでした。
 まさにわたしたちの行楽は、子供の頃から「お菓子と共に」なのである。
 そこで今回、友達よりも一歩先に行きたいあなたへ送る「21世紀の行楽にぜひとも外せないお菓子」二品をkiriちゃんにアウトドアで食べてもらうことにした。


ポテトチップス編

 

 一品目はポテトチップスである。おやつの定番ですね。 
 ハイセンスなパッケージ、真っ赤に染まったポテチの色、いかにも近未来、21世紀的な感じだ。
 袋を開けて中を見る。
「赤いね。うん、赤いよ」
 kiriは「赤い」と小学生でも言えるような感想を漏らした。
「そうそう、赤いな。キムチやチゲ鍋のように赤いな」
 ぼくは、赤いってことぐらいわかってるんだよという態度をあからさまにした。
「うんじゃ、食べるね」
 手にとって食べようとする。
 ここからが長かった。
 なかなか食べてくれないのだ。
 バンジージャンプの最後の一歩が踏み出せないのと同じらしい。
「早く喰えよ。ハナつまめばすぐに喰えるよ」
「給食じゃないんだから……」
「わたし、辛いの苦手なんだよ」
「苦手は克服してこそ価値がある」
「そういう問題じゃないでしょ」
「そういう問題だよ。人生だって、できないと思って尻込みしてたら何もできないんだ。自分には無理と思っても向かっていく姿勢に価値がある」
「そうかなあ?」
「そうだよ。一度苦手なものから逃げたら、これから先、ずっと苦手から逃げて言い訳しか言わない人間になるよ。おまえはそういう人間になりたいか?」
「なってもいいよ。そっちのほうがラクそうだし」
「バカなことを言うな! とっとと喰え!」
 ぼくの人生を語る素晴らしい説得によって、ようやくkiriは一口目を食べた。
「あ、カラムーチョみたい。平気かも」
 とkiriが言うやいなや、表情が豹変する。
「うげー、からっ! あとから来るじゃん、これ!」
「ほー」
 ぼくはkiriの辛そうな顔を撮ろうとカメラに集中する。
 しかし、kiriの表情がまたもや変わった。
「からからからからからからからからからからから……」
 そう言いながら、kiriは笑い出したのだ。あまりの辛さにハイテンションになったらしい。
「もう、iwaりん、早く飲み物頂戴よ、あはっはははははは」
 食べただけでたくさん笑えるこのポテトチップス、行楽のお供にぜひおすすめである。

このポテチ、おもちゃ屋さんで買いました。
 
赤いです

笑顔でごまかそうとしてます。
だけど、君が食べないと終わらないよ。

おそるおそる食べました。

辛さにクラクラしてます。

そしてハイテンション。
笑いしか出ません。



飴 編



 kiriの笑いをスタッフの冷たい視線攻撃でようやく止めてから二品目に挑戦した。
 二品目も行楽の定番、飴である。
 登山のとき、飴がなければ小石を口にくわえる人がいるほど、飴は行楽では威力を発揮する。バス遠足だって、バスの中で友達とはじめに交換するお菓子はたいてい飴である。
 このように、行楽とは切っても切れない関係にある飴。関西では親しみを込めて「飴ちゃん」とちゃん付けで呼ぶが、その飴も一歩先に行きたければ写真のようなナウい商品がおすすめだ。
「きれいな袋やね」
 飴のパッケージを見て、kiriが言った。そりゃ、ナウい飴だもの。おしゃれだよ。
 袋を開けて手に取ってみると、たくさんの種類の飴が出てきた。このバラエティ感もうれしい。
 kiriはその中からブラックチェリーを選び、口に含んだ。
 ポテトチップスのような抵抗は微塵もない。
 おそらく、パッケージが派手なだけで、中身は普通の飴だと油断したのだろう。
「うわぁ! すっぱー! しぶーい!」
 すぐにkiriが顔をしかめた。
 にゃはははは。してやったりである。
 ちょっと舐めれば、すぐに甘い普通の飴に戻るのだが、それまでの酸っぱさを味あわせたかったのだ。
 へへへへへ。
 この顔をしかめたkiriの写真をみなさん、お楽しみください。

kiri、油断しまくりの絵です。

いろんな種類の飴がありました。
「どれもおいしそう」
なんてkiriは言ってたけど。
まあ、たしかに「おいしい」飴でした。

なめたツラで飴をなめてます。

異変に気づきました。

「吐き出していい?」「ダメ!」

久々のkiriの「おいしい顔」です。

戻る