試しに実験
 たこ焼きに「タコ」は本当に必要だろうか?
 ぼくは思う。
 たこ焼きを食べるとき、口の中でタコは生地から分離する。
 お好み焼きのキャベツなら、そんなことはまずない。口の中に入れてもキャベツと生地は密着したままで、ほぼ同時に食べることができる。
 饅頭のあんこだって、まるごとバナナのバナナだって、生地と具を同時に食べられる。
 そうやって、味のハーモニーが楽しめるのだ。
 だが、たこ焼きはそうではない。
 いつも早々と生地はノドを通り抜け、気が付いたら口の中には無傷のタコがコロコロしている。仕方がないから、そのタコをくちゃくちゃ噛む。
 生地は生地、タコはタコのソロプレイである。タコとお好み焼きを別々に食べているようなものだ。
 しかし、それでは具としての価値はないのではないだろうか?
 無理にタコを入れなくてもいいのではないだろうか?
 たい焼きにタイは入っていないのだから、それと同じように、たこ焼きも丸い形がタコに似ているだけでいいのではないだろうか?
 というわけで、今回は、たこ焼きに対する「タコ」の役割を確認するために、タコ以外の具を入れてたこ焼きを作ってみた。
 用意した具は「わさびのり太郎」「キャラメルコーン」「ポケグミ」「焼きそば太郎」「たこ焼きスナック」「ゆすら」「オレンジガム」「マーブルチョコ」「甘い干し梅」「グミ」の十種類である。
 十種類試せば、なんとなるだろうという短絡的な発想から用意された。
 まずはじめに、「タコ」を入れてたこ焼きを焼いてみた。
 空腹だったこともあって、masaもkiriも「おいしい」とご満悦だった。
 その「おいしい」たこ焼きから、タコを引いて、別の新しいものを加えたらどうなるのか?
 そこから実験はスタートした。



わさびのり太郎
「辛さがなくなり、そ
こそこ喰えた」

キャラメルコーン
「コーンが生地と同化
してわからず」

ポケグミ
「グミが途中で溶け
甘い香りが…」

焼きそば太郎
「たこ焼きと焼きそ
ばは別物だ」

たこ焼きスナック
「コーン部分が粉に
吸収される」

ゆすら
「酸味が広がり、種
のおまけ付き」

オレンジガム
「ガムが柔らかくな
り、生地にからむ」

マーブルチョコ
「熱いチョコがどろり
と溶けだした」

甘い干し梅
「温かい果肉が新
食感」

グミ
「グミが溶け、酸味
と共に妙な甘みが」



生地に埋め込まれる材料


これからの先行きが思いやられます


しかし、回転させるとご覧の通り。


見た目は見事なたこ焼きです。





試食中のmasaの表情です。
たこ焼きの出来をすべて物語っています。



こちらはKiri。無表情でモグモグと食べてます。

試食しているmasaやKiriの表情をよく見て欲しい。
相当にまずそうである。
たこ焼きは、やっぱりタコが入ってこそたこ焼きですな。
タコ以外の具を入れただけで、ここまで味が変わるとは思わなかった。
全体的に、どの具もたこ焼きの中に入れると柔らかくなる。あの、たこ焼きを口に入れたときに感じる、コリコリとした食感がないのだ。
生地の水分や熱を受けても柔らかくならないタコは、まさにたこ焼きにぴったりの具だったのである。
いやはや、昔の人はよくこのコンビネーションを見つけたものだ。昔から決まってることは素晴らしいなあ。
しかし、こんな当たり前の結論を出していいのだろうか?

材料名 説明 食感 おすすめ度(3点満点)
わさびのり太郎 鱈のすり身にわさびの味付けをした駄菓子 熱でへにょへにょに柔らかくなっていた。 ちょっと辛さが残るものの、ほとんど消えていた ☆☆
(辛さが残ると面白い)
キャラメルコーン キャラメル味のコーンスナック(そのままやな)。 生地に溶けていて、ほとんどわからず。 生地に溶けていて、ほとんどわからず。
(笑いも取れない)
ポケグミ 一時期、ブームになった、乳首の食感のグミキャンディー。 べろべろに溶けていて、口に頬張ったとき舌を火傷しそうになるぐらい熱い。 人工的な香料・甘味料の味がソースと合わない。 ☆☆
(気味悪い甘さがいけてる)
焼きそば太郎 ベビースターラーメン風のお菓子に、焼きそば風味の味付けがしてある。 麺が柔らかくなり、物足りない。 特別まずくもなければ、おいしくもない。
(やるだけ無駄)
たこ焼きスナック たこ焼き風味のスナック。
生地に溶ける。 しょせん、たこ焼きスナックはたこ焼きに吸収される。
(意味がなかった)
ゆすら 果物。
さくらんぼを貧乏くさくしたような味がする。
果実は溶け、種だけが残る。
吐いた種にたこ焼きの生地が付着していて汚い。
果実をそのまま食べるよりも酸っぱい。
(わざわざまずくしてどうする)
オレンジガム 懐かしのオレンジ味のガム。 どろどろに溶け、生地の隅々にへばりついている。
吐き出すと、たこ焼きをそのまま吐き出したような罪悪感にさいなまれる。
オレンジ味が、しつこく生地にまとわりつく。 ☆☆
(フーセンはできなかった)
マーブルチョコ 定番のマーブルチョコレート 生地の中で溶けている。
口に入れるとチョコが広がる。
意外においしい。
ソースをかけなければ、チョコレート味のクレープのようだ。
そして、ソースをかけても、甘辛さがいける
☆☆☆
(なぜかおいしかった。ぼくらの味覚がおかしいのかも)
甘い干し梅 梅干しを甘く味付けしたもの 果肉が温かい。
梅干しをお茶や焼酎に入れたのと似た食感。
口に入れた当初は違和感なし。
ただし、噛み進むに連れて梅干しの味が。
☆☆
(種が残る頃には、梅干しの味しかしない)
グミ よくわからない果物。
あまりおいしくない。
やっぱり溶ける。
種が小さいので思わず飲み込むことも。
酸味と甘みが、生地にあってない。
(もともとおいしくない果物だからしかたない)

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